原価を下げるとか、生産性アップとなるといつも対象となるのは製造現場などの直接部門です。営業部門や総務部門などの間接部門をそのままにしておいて、直接部門の生産性アップや中国での安価な調達ができたとしても、総合力はアップしません。
間接部門については、これまで対象外であったとしても、徹底的な改善に取り組み、原価の低減を図ることが必要です。
管理間接部門とは、技術部門(開発、設計、生産技術)、管理部門(生産管理、資材購買、品質管理)と経営企画、総務、経理などの非製造部門を指します。こうした事務所においては、改善は難しいと思われるかもしれないが、ジャスト・イン・タイム(流れ化)の考え方を導入し、効率化を図っていくことは可能です。
管理間接部門へ改善を展開するポイント
(1)5Sを徹底して「モノを探すムダ」、「書類を探すムダ」、「事務消耗品の過剰在庫のムダ」、「スペースのムダ」等の「事務作業のムダ」を除く。
(2)書類の整理、ファイリングで、情報の共有化と効率的活用を行い、業務の重複の解消と業務処理時間を短縮する。
(3)業務の予定と実績の「見える管理」を行い、納期の遅れの事前把握と業務の平準化対策をとり、遅延を未然に防ぐ。
(4)業務の生産性向上と工数低減、間接経費を削減する。
(5)業務リードタイムの短縮、仕事の質的向上を図り、管理間接人員と管理間接経費を削減する。
(6)終局的には、事務現場(オフィス)の環境改善と業務の進捗がひと目でわかるようにし、予防的管理を徹底することで、人・組織の活性化を目指す。
管理間接部門も「事務現場」と位置づけると、生産現場同様に5Sを徹底しなくてはなりません。対象となるのは、事務用品、備品、書籍、書類など業務遂行上必要なものすべてです。整理段階で、手持ち基準を決めて「不要なもの」、「余剰なもの」をオフィスから処分し、「スペースのムダ」を解消することです。
その後、整頓を推進して、すべてのものに最適位置を決めて表示を徹底することで、「探すムダ」や「事務消耗品の過剰在庫のムダ」などを解消します。
また、5Sを徹底し、スペースにムダがなく、作業動線の短いオフィス環境に変えることは、従業員が業務効率化をしようという意識、モチベーションが高まるので、真っ先に取り組むべき改善です。